亡くなった人と会う方法

失った母の嘆き

幼い我が子を亡くす……、

これほどの辛さは、言葉で言い表せるものではありません。

事故にしても、また病気にしても、親は後悔の思いや自責の念に苦しむでしょう。

もっと何かしてあげられることはなかったか。

もっと優しくしてあげればよかった。

もっとこうしてあげればよかった。

自分を責め、深い悲しみの中、今、我が子は何をしているのか、淋しくしていないか、一人ではないか。

旅立った我が子を心配する気持ちと、夢でもいいから会いたいと願う気持ちを抱きながら、悲しみばかりの日々。

実は、そんな母親を、亡くなった子どもはとても心配しています。

ママを励まそうと、一生懸命できる限りのことをしているのです。

母を思う子の心温まる思いは、母子の絆の強さと、いつも心は繋がっているということを教えてくれました。

 

塚越麻里さん、 35歳。麻里さんは25歳でご結婚されましたが、すぐに子どもが授からず、不妊治療なども行い、 30歳を過ぎて女の子が産まれました。

やっと夫婦の元へ来てくれた我が子をとても大切に思い、育てていました。

ところがその幸せの時を突然失うこととなったのです。

 霊視カウンセリングが始まるとすぐに、麻里さんには涙が溢れてきました。

「私が悪いんです、娘の萌奈が死んだのは私のせいです。私が……、ごめんね」

何度も何度も麻里さんは泣きながらごめんね、を繰り返しました。

どのような言葉をかけたらよいものか、我が子を失う大きな悲しみに言葉が見つかりません。

ただ、ほんの一時でも、一瞬でも、麻里さんがお子さまを感じるすべはないものか、と私は考えていました。

 麻里さんはお話を続けてくれました。

「萌奈は……、自宅のマンションのベランダから転落しました。私が、あんなところに高さのあるものを置いていたからです。私が目を離したからです。私がちゃんと見てなかったからです……」

 そう言うとさらに激しく号泣しました。

これ以上お話いただくのは辛いと思い、私は声をかけました。

そう、自分を責める麻里さんのすぐ横に、すでに萌奈ちゃんが現れていたのです。

はママのそばにいるよ」 

「これ以上は、何も言わないで大丈夫です。今、萌奈ちゃんは真理さんのすぐそばに来ていますよ。花の冠のようなものを持っています、麻里さんに渡したいそうです」

そうお伝えすると、「お花の冠ですか?」と麻里さんは、ハッと顔を上げ、大きくうなずきました。

「娘が亡くなる数日前に約束していたんです。シロツメクサの花畑が近くにあり、以前一緒に花の冠を作ったことがあって、萌奈は今度はママに作ってあげるって、また 一緒に作りに行く約束をしていました……」

萌奈ちゃんは、「自分の魂はここにいるよ」と、ママに信じてもらおうと伝えてきたのです。きっとお花の冠を見せればわかってくれると。

「萌奈はそばにいるんですね。萌奈ちゃん、淋しくない? ごめんね、ママもっともっと萌奈ちゃんと一緒にいたかった。会えないのが淋しいよ……。ごめんね、そばにいられなくて……」

麻里さんは自分の思いを萌奈ちゃんに一生懸命伝えました。

すると、萌奈ちゃんか らたくさんのメッセージが届いてきたのです。 

「ママ、ママはいつも萌奈と一緒にいるよ。萌奈は淋しくないよ、だってママといつもお話しているもん。パパがね、萌奈の好きなケーキを買ってきたけど、萌奈はもういないから一緒に食べられない。だから淋しいって、パパも泣いてたよってママが教えてくれた。萌奈の好きなもの、会う時に持って来られなくてごめんねって、でも、色んなお話をたくさんして、また明日くるねって、ママいつも来てくれるよ。お花の冠も、ここでママと一緒に作ったよ。萌奈はママと会えるから淋しくない。だからママも泣かないで。パパも泣かないで」

睡眠中なら幽界や霊界に行ける 

萌奈ちゃんのこの内容は私にはすぐにわかりました。

麻里さんは、萌奈ちゃんが心配で毎日萌奈ちゃんのもとに会いに行っているのです。それは、眠っている時にです。

私たちはこの地上界では、肉体での生活を送っていますが、本来の姿は霊体(魂) です。

肉体と霊体は、幽質結合体というもので繋がっていて、この幽質結合体は無限の長さのコードのように伸びるのです。

これをシルバーコードといいます。

睡眠中に肉体を離れた霊体は、無限に伸びるこのシルバーコードで肉体に繫がれたままの状態で、幽界や霊界に一時的に行くことができるのです。 

麻里さんの魂は、寝ている間に、シルバーコードで肉体に繋がれたまま、毎日萌奈ちゃんに会いに行っていたのです。

ただし、肉体に戻った瞬間にその時の様子は記憶として残らず、残念ながら朝目覚めても「覚えていない」状態となるのです。

 私は、麻里さんに、萌奈ちゃんからのこのメッセージを伝えました。

 麻里さんは、驚いた表情をしていました。

「私、ケーキの話、していませんでしたよね」

「はい、聞いていませんでした」

「萌奈、いるんですね、そばに……。私いつも会っているんですね?」

そう言いながら、さらに大粒の涙を流しながら話を続けてくださいました。

「ケーキの話、そうなんです。主人が『つい買ってきちゃうんだよ。萌奈の好きなケ ーキ、食べたがっているかなって思って』と言って買ってくるんです。その話を私はしていませんでした。なのに萌奈からのメッセージにこの話があったことを聞いて、 確信しました。萌奈は、魂は生きて私たちのそばにいてくれているって」

麻里さんは何度もうなずきながら、萌奈ちゃんを感じてくれました。

そして私は、 寝ている時、麻里さんの霊体が萌奈ちゃんのいる幽界に会いに行っている話もしました。

目が覚めるとその内容を忘れてしまうことも。

その瞬間、麻里さんは初めて笑顔を浮かべました。

「はい。忘れてしまっていても、このケーキの話で私は萌奈がそばにいることを確信したので、嬉しいです。でも……、もう一度だけでもいい。生身の萌奈をこの目で見て抱きしめたいです」

私は麻里さんのその言葉にとても心が痛みました。

愛する我が子の生身の姿を見て触れたいと願う気持ちはあれど、生身の体で感じることはできないのです。

私は故人と交信を取り、メッセージを受け取る媒体役はできますが、生身で対面させることはできません。

そうして差し上げられないことを本当に悲しく感じるのです。

 私は答えました。

「そうですね……。もう一度会いたいですよね、触れたいですよね。それは萌奈ちゃんも同じ気持ちだと思います。でも、心は一つなんですよ」

 真里さんは、

「はい、一つだということがよくわかりました。もし、少しの可能性でも、幽界で萌奈に会っている時のことを思い出すことができないでしょうか……」

 と、真里さんは願いを伝えてきてくれました。

「そうですね……。では試してみましょうか」

 私はその方法をお伝えしました。

魂はいつ

麻里さんは、お越しになられた時は涙でしたが、帰りは笑顔となり、 「教えていただいた方法、早速今日から毎日行ってみます!」 とカウンセリングルームを後にしました。 

人は死して無になるのではなく、生前培われた愛の絆は死後も存続し続けます。

いつまでも愛する人を心配し、見守り続けるのです。

そして、実は、幽界で対面しているということを忘れないでください。

人は愛する人を亡くし、深い悲しみの中にあっても、ずっとそのままではありません。

時の流れが気持ちを和らげてくれるといいますが、これは、実は、睡眠中に愛する人に対面して、色々なお話をしながら、淋しい気持ち、辛い気持ちもたくさんお話しして、死後もこうして会えるんだ、ということを自分の魂に納得させていくのです。

それにより、安心と共に、悲しみや辛さも少しずつ軽減されていくのです。

そして、いつか自分もこの地上を去り、向こうの世界に行った時には、真っ先に愛する人が出迎えてくれるでしょう。

これは必ずです。

2か月後に、麻里さんは再度カウンセリングにお越しになられました。

初回の時とは、別人のようで、顔色も変わりました。

「教えていただいた瞑想法を、毎日行いました。すると、今まで夢にも出てきてくれ なかった萌奈が出てくるようになったんです。 そして、瞑想中に不思議な感覚になるんです。萌奈がすぐ真横にいるような、そしてうっすらとですが、何となく萌奈と会話をしているような風景が、公園のような感じの場所で、それが何となく見えるんです

 

そう、愛という絆で繋がれた者同士なら、肉体がなくなっても魂はいつでも会える。

そのことを忘れないでください。 

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