不妊の原因のひとつは心の奥底にある恐れ
「なぜ子どもができないのか?」 カウンセリングにお越しになる方々の中で、「不妊」についてのご相談の件数は、比較的多いです。
不妊治療中の方の中には、身体的には異常がないのに、なかなか子どもができない、
または、できても流産をしてしまう、という方々もおられます。
もちろん、原因は人によってさまざまですが、ある共通したことが原因の場合もあります。
「本当は子どもが欲しくない」、あるいは
「母になることが不安」という気持ちを無意識の中に持っているのです。
その原因は人によって異なりますが、ここでは、前世で体験した魂の恐怖が、今世で母になることを(無意識に)拒絶していた女性のケースをご紹介します。
「母になるのが怖い」~前世の傷ついた魂の叫び
不妊治療を始めて3年ほど経った、飯島愛梨さん( 32歳 )。
愛梨さんは 歳で結婚されて、ご主人も愛梨さんもお子様を望まれているのですが、なかなか授かることができませんでした。
体の検査を受けても、ご夫婦ともに、何らかの異常があるわけでもなく、不妊の原因がわからないという現状。
不妊治療を始めて3年、一向に授からないことに悩み、カウンセリングに来られました。
「子どもが授からなくて、とてもつらいです。主人の実家も、以前は『早く孫の顔を見たい』と言っていたのですが、最近は、『孫』『子ども』という言葉が禁句のようになっています。ご両親も私たちを気遣っていると思うのですが、最近は、私の友人たちもみんな子どもができて、2人目が生まれたという友人も何人もいます……。なぜ、 私には子どもができないのでしょうか? このままできなかったらどうしようと考えると、とても気持ちが落ち込みます」
私は、まずは愛梨さんの体の状態を、オーラの状態から読み取らせていただくことにしました。
たしかに、何かしらの病気が不妊の原因となっているわけではなさそうでした。
しかし、体のエネルギー全体が、とても硬直しています。
まるで、体全体が「私の中に何も入ってこないで!」と言っているように、「拒絶」のブロックをかけていたのです。
私は、その状況を愛梨さんに伝えました。
「体のエネルギー全体が硬直していますよ、いわゆる、常に緊張状態ということです。 これは一時的なものではなく、かなり以前から、このような状態ではないかと思うのです。体のエネルギーがリラックスしていないと、不妊の原因になることもありま す」
「エネルギーが硬直ですか? それは、なぜでしょうか?」
「その原因、少し霊視させてくださいね」
私は、その原因について、霊視を始めました。
原因となっているものは何か?
しばらくすると、うっすらとビジョンが見え始め、次第にそのビジョンは色濃く映し出されました。これは、愛梨さんの前世なのでしょうか……。
映し出されたビジョンは、現代の日本の光景ではありません。
これは古代のヨーロッパ、ローマ時代なのでしょうか。当時は、小さな国がたくさんあったのであろうと思われる古い時代です。
隣国との戦争が頻繁に起こり、人々は不安な気持ちで過ごしていたのでしょうか。
2人の姉妹の姿と、その母親の姿が映し出されました。
その姉妹のひとりが、前世での愛梨さんです。
名前ははっきりとはわからないので、ここではエマとキリア(愛梨さん)とします。
エマとキリアの年齢は、ほぼ変わらなく見えるので、年は近そうです。
美しい庭が映し出されてきました。この母子の家でしょうか。
ここまでのビジョンでは、一見幸せそうにも見える状況ではありますが、次の瞬間、ビジョンが移り変わりました。
戦争が起こり、この国の男性たちが必死に戦う中、女性と子どもは敵の兵士に連れ去られ、悲鳴と号泣が飛び交い、エマとキリア、そして母親も兵士に連れ去られていきます。
何と残酷な光景なのでしょう。多くの母親と子どもたちは、互いの目の前で兵士により殺害されています。エマとキリアも母親に抱きかかえられながら、次は自分たちの番だと、近寄る兵士に恐怖で震えています。そして兵士は、エマとキリア親 子の目の前に立つと、母親からエマとキリアを引き離しました。
母親は泣き叫びながら、「子どもたちをどうか助けて」と兵士の足元にしがみついていました。
とても心痛むこの状況に、私は顔をしかめながらも、映し出されるビジョンを紙に書き続けました。
しかし、なぜか兵士は、エマとキリアを殺害しません。
残酷な選択を母親にさせようとしたのです。
「この2人の子どものどちらかを助けてやろう。どちらかひとりを選び、選んだ子どもと一緒に、この場から立ち去れ」と。
2人の子どものうち、ひとりを選ぶなんてできないと言う母親の目の前で、兵士がエマとキリアに剣を突き立てた瞬間に、母親は悲鳴を上げながら、
「エマです。どうかエマを助けてください」と兵士の足元にしがみついて言ったのでした。
兵士はエマを母親の元へ投げつけ、母は泣きながらキリアに何度も何度も「ごめんなさい、ごめんなさい」と言いながら、エマを連れてその場から立ち去っていきました。
キリアも号泣しながら、立ち去る母とエマの後ろ姿に叫び続けています。
「行かないで、行かないで……」と。
この場面から、ビジョンが移り変わりました。
あの残酷な場面ではなく、私の目の前にはひとりの女性がたたずんでいました。
それはキリアでした。キリアはあのとき、殺されず、奴隷として隣国に連れていかれたのです。
あのとき幼かった彼女も、二十歳前後に成長していました。しかし、彼女の心は凍りついていました。
母に見捨てられ、感情をなくし、幼くして隣国で奴隷として働かされ続けながら成長していたのです。
母を恨みながらも、ただ生かされているだけ……という過酷な日々。
それでもキリアの心は、自分を裏切り見捨てた母を思い続けていました。
「母に抱きしめられたい、会いたい……」と。
小さい頃に母と過ごした、優しいひとときの記憶を思い出しながら……。
現実は残酷にも、母は妹(エマ)を選び、キリアを死の世界へと見捨てました。
孤独と寂しさと、母への想いを抱え続けたこの人生は、キリアに幸せをもたらすことはなく、生きるための希望も見いだせないキリアは、自ら命を絶ち、この人生を終えました。
そこでビジョンは途絶えました。
何て過酷で、つらい人生だったのでしょう。
私は、これらをすべて、愛梨さんに伝えたのでした。
すると、彼女は目を大きく見開いたまま、このように言ったのです。
「私は子どもの頃から、映画などでローマ兵の戦いや民族抗争を見ると、体全身が震えるのです。ただ怖いというだけではなく、心からの恐怖心です。それは、この前世と関係があるのでしょうか?」
私はすぐに、「そうですね」と答え、次の瞬間、別のメッセージを受け取りました。
そのメッセージは、愛梨さんの心の奥底の悲しみの感情だったのです。
「お母さんが憎い、私は悲しい、私は愛されなかった。
もっと私を愛してほしかった、本当はお母さんが大好きだった」
これは、先ほどの前世のキリアの気持ち?
いえ、違う、今の愛梨さんの気持ち。
では、なぜ前世と同様の気持ちを持ち続けているのだろうか……。
そう思いながら、私はこの愛梨さんの心の奥底の悲しみも、すぐに本人に伝えました。
「愛梨さんも悲しいのですね、もっと私を愛してほしかった、お母さんに愛されたかったと、ずっと思い続けていませんか?」
愛梨さんは、ハッとした顔をし、次の瞬間、目が潤み始めました。
第二話に続きます。