カルマを解消して生きるヒント
魂は輪廻転生を数百回と繰り返し、地上人生を送ります。
そして前世と現世は、切り離して考えるべきものではなく繋がっているものであり、前世から持ち越してきた課題を現世で解決することにより、その結果がさらに来世にも繋がっていくものです。
来世をどのようなものにするかは、現世の生き方次第。
そのためにも、前世から持ち越してきた課題が何であるのかを知ることが、今を生きる道しるべになることもあるのです。
課題の解決が来世を変える
カウンセリングにお越しになられた三橋里美さん、 34歳。初対面の里美さんの印象は一言でいうと「疲れている」という感じでした。
私は思わず、「大丈夫ですか?」 と声をかけたほどで、里美さんは、「はい、最近あまり寝る時間もないもので……」 と言うと、うつむいてしまいました。
その後、すぐにご相談内容についてお話ししてくれました。
「私は結婚 7年目です。夫(高志さん)は仕事が続きません。とにかくすぐに辞めてしまうんです。もう何回転職しているのか……。正社員だけでなく、バイトも含めると……、もう数もわからないほどです。
それに……、実は借金もひどくて、何にそんなに使ったんだか、本人は言いません。 これからは子どもも作りたいんです。
けれど、夫がすぐ仕事を辞めるから収入も心配 なので、今は生活のために、私も仕事を辞められないんです。
朝から夕方までは会社勤め、夜は自宅でパソコンを使ってバイトをしています。納期があるので、夜遅くまで、時には朝までかかることもあります」
それで里美さんは、十分に寝ることができないのだということがわかりました。 ご主人の高志さんの仕事が続かず収入も不安定、その上、借金があるため、里美さんが家計を支えて頑張っている状況だったのです。
里美さんは話を続けました。
「子どもを作るべきかどうかも悩みます。子どもは欲しいんです、でも、私が働けなくなったら、家計は回らなくなります。どうしたらいいものか、わからなくなりました」
このような状況から、里美さんは、自分はなぜ高志さんと出会ったのか、どんな課題がある二人なのか、と前世での関係性を知りたいとのことでした。
里美さんと高志さんがどのような縁を持って出会ったのか、前世での関わりはどのようなものであったか、私は前世のビジョンを受け取ることにしました。
里美さんとご主人の高志さんの前世へと、意識をフォーカスしました……。
フランツとエリー、 二人の課題
ビジョンが浮かび始めました。中世のヨーロッパ。里美さんはエリーという女性で、高志さんはフランツという男性です。
二人は恋人同士であり、決して豊かではないけれど、寄り添いながら心は幸せでした。
フランツには夢があり、エリーと共に夢の実現に向かっていました。
その夢とは「画 家」となること。 フランツは幼い頃から絵が好きで、特に教会などにある宗教画に夢中でした。
たしかに絵の才能は素晴らしいものでしたが、決して経済的に豊かではないので、画材などもきちんとしたものが購入できず、エリーはフランツの夢の応援のために、協力を惜しみませんでした。
働いて得たお金もフランツの画材道具のために使い、さらに、 フランツの生活に必要なお金もすべてエリーの収入が支えていました。
絵を描いても、生活できるだけの収入にはなりません。エリーがフランツを支えるために、昼夜仕事に追われる日々。
フランツの夢に自分の夢も重ねていたのです。共に頑張りいつか結婚するという夢を……。
そのような日々が何年も続き、エリーは疲れ果てていました。
一方、フランツはエリーのそのような姿を見ても、画家になる夢を追いかけ続けるばかりで、自分をふるい立たせて収入に繋がる仕事をしようとはしません。エリーも体力に限界を感じていました。
そんな矢先、突然、フランツに画家として暮らしていける話が舞い込んできたのです。
フランツの描いた宗教画が、上流階級のご婦人の目に止まり、そのご婦人の支援で 絵が描けることになったのです。フランツもエリーも喜びました。
エリーは長い年月、 フランツを支え、フランツの夢に向かい共に頑張ってきました。深い絆が二人の間にはある、そう信じ、境遇の変化がもたらすものへの不安は一切ありませんでした。
しかし、この喜びは束の間であり、エリーにとってはさらなる不幸の始まりとなりました。
フランツは婦人のお屋敷に頻繁に足を運ぶようになりました。これから夢だった「宗教画」を存分に描けると希望で一杯でした。
しかし、美しい婦人より依頼された内容は、婦人の「肖像画」です。フランツは婦人を描き続けました。
そして次第に、婦人に用意されたアトリエにこもるようになり、エリーの元へ戻る日が少なくなりました。
エリーは、フランツの夢のためと、寂しさも我慢していたのです。
しかし、いつしかフランツは婦人の専属画家兼恋人のような関係となり、宗教画を描くこともなく、婦人の姿だけを描き、常に夫人と共に過ごすようになったのです。
フランツの頭にはもうエリーのことはありません。婦人といることで、贅沢に絵を描く環境、生活が保障されていたのです。エリーは孤独に陥りました。
それでもなおエリーは、「私たちの間には信頼があるはず、私を裏切るはずがない」 と、フランツと結婚することを夢見て待ち続けました。しかし、間もなく病気となり 帰らぬ人となったのです。フランツに会うことのないままに……。 フランツもまた、婦人の心変わりにより援助を受けられなくなり、婦人の元から離れることとなりました。そのような事態になってようやく、信じて支え続けてくれた エリーを裏切り、自分の欲のために良心を失っていたことに気づいたのです。そして、 エリーの元を訪ねました。しかし、もうエリーはいません。そのことを知ったフラン ツは自分の未来に絶望し、自ら命を絶ったのでした。 ここで前世のビジョンは途絶えました。私は、この前世を里美さんにすべて伝えま した。
前世から持ち越してきた二人の課題は、自分の人生を自分の手で切り開いていき、 決してお互いや他者に依存し合ってはいけないということです。 前世でのエリーは、フランツの夢のために自分自身を犠牲にして、生活を支えてい ました。そのため、自分の人生を生きることができずにいたのです。現世に於いても 里美さんは、生活を支えるために、昼夜働き通しでいるというように、前世と同じ「自 己犠牲」を自らに強いているのです。 そして前世のフランツは自分の夢や欲望のために、エリーの誠意に甘えて、人生を 自分で切り開くということから目を背け、他人に依存する人生を送ってきたのです。 そのために自らが積み上げてきたものが何もなく、依存する相手がいなくなったこと により、自分自身で生きていくことができず、自ら命を絶つ、という過ちが、「大き なカルマ」として現世に持ち越されました。 現世においても、同じようなことを繰り返しています。魂に刻まれた前世のカルマ が「魂鏡の法則」により、現世での二人の関係性に映し出されているのです
目的は添い遂げることではない
この現世において転生した二人が再度めぐり合ったのは、夫婦として添い遂げるということが目的なのではなく、自分の人生を犠牲にせずに、自分のやるべきことに 向かい進むということ、つまり互いの「心の自立」という課題が二人には与えられていました。
これ以上、依存や過度な自己犠牲を伴う関係性が続くのであれば、この負の関係性を断ち切るために、今後は夫婦としてではなく、「個の自分」としてそれぞれの人生を歩み出し、お互い別の道を歩むことも必要な場合もあるのです。
私は里美さんにこの前世の二人の関係性と、二人の課題をお話ししました。
里美さんは、しばらく考えた後、
「やはりそうですよね……。何となく心では思っていたんです。一緒にいても何も変わらない、自分の人生を歩くことができなくなるのでは……と。この前世でのお話、とても腑に落ちました」
そう言い、この前世と現世で同じことを繰り返しているということに気づいたのです。
私は伝えました。
「すぐに離れるとか、離婚しなければいけないとかではないのです。まずは、里美さんご自身も共依存にならないように、何でもかんでもやってあげることはしない、自分の行いは自分で償わせる、という感じに、ご主人さまに対して自立を促すことを試 みてください。それでも変わらなければ、次を考えてほしいのです」
「その時に離婚とかですか?」
「それも選択肢の一つです。その時にまた考えればよいと思いますので」
里美さんは大きく何度もうなずきました。
「はい、前世と同じにはなりたくないので、変えていきたいと思います!」
ここでカウンセリングは終了となりました。
課題を繰り返すか、 新たな人生をつくり出すか
その後、里美さんは定期的にカウンセリングに通われてきました。
高志さんが現実を見て自立するようにと、彼女なりに頑張ってきました。
しかし、残念ながら高志さんが変わることはなく、定職に就くこともせず、借金を作る日々を繰り返していました。
そして、その結果、二人は離婚することとなったのです。
現在、里美さんは別の男性と再婚されています。新しい旦那さまとの間に二人のお子さんが産まれ、現在子育てに頑張っています。
前世でフランツとの結婚を夢見ていたエリー。しかし、自分の幸せは掴めませんでした。
現世では、フランツ(高志さん)とのカルマを解消するために、お互いの心を自立させ、新たな自分の人生を切り開くことができたのです。前世から持ち越した 課題を繰り返す人生になるか、乗り越えて新たな人生を作り出すかは、自分自身の自由意思でいかようにも変えることができます。
高志さんも、今の自分の人生を見つめ直し、夢や希望ばかりを追い求めるのではなく、現実をしっかりと見て生きることこそがカルマを解消することになるのです。
現世で起こっている問題(苦難、苦境)、対人関係、思考、などは、前世から課題として引き継ぎ持ち越してきたものであるため、前世で起こっていた事象(苦難、苦境) などが現世において再現されます。
人は、生きていく上で様々な苦しみを伴います。
特に対人関係(親子、夫婦、友人、知人)などの関係性においては、必ず前世での何かしらの関わりが大きく影響する場合が多いのです。
もし、今あなたが様々な問題の渦中にあるのであれば、それこそが乗り越えなければならないカルマ「魂の課題」が、魂鏡の法則により鏡のように映し出されているのです。
その問題から目を背けようとすれば、何度でも繰り返し同じような事象が次々と再現されます。
「これはあなたの乗り越えるべき課題なのですよ」
と、その問題をメッセージとして守護霊さまより教えられているということになるのです。
守護霊さまのメッセージはすべて「魂鏡の法則」により、写し出されます。