不妊の原因のひとつは心の奥底にある恐れ第二話

前回からの続きです。

「なぜ子どもができないのか?」とお悩みでお越しになられた愛梨さん。

霊視を始めていくと、前世での悲しい母への想いが視えてきました。

そのことをお伝えすると、現世での想いに重なることがあるようでした。  

 

「実は、先ほどの前世の話を聞いて、私の生きてきた状況と重なる部分があって……、怖くなっていました……」

 

愛梨さんは、ご自身の生い立ちをお話ししてくださいました。

「私には妹がいました。年子です。

とても仲が良い姉妹でした。そして私は母が大好きでした。

母も私たち姉妹にはとても優しかった……。

だから、離れ離れになるなんて思いもしませんでした。

小学4年生のとき、突然父が私に言ったんです。

 

『来月から、お父さんとおばあちゃんの家に住むことになったから』と。

 

私は驚きました。母と父は離婚することになったのです。

私はとてもショックで、母に尋ねました。

 

『どうして私はお父さんなの? もう、お母さんと一緒に住めないの?』と。

 

お母さんはひと言、「ごめんね」と言い、それ以上のことは何も言ってくれませんでした。

 

私は、妹はどうなるのかと思って、父に聞きました。

すると、妹は母が引き取るそうで、私はさらにショックを受けました。

なぜ、母は妹だけを連れていくのかと……。

 

それから数日経ったある日の深夜、私はなかなか寝つくことができず、飲み物を飲みにキッチンに行こうとしました。

すると、居間から、母と父が喧嘩している声が聞こえてきました。

私は自分の部屋に戻ろうとしたのですが、父の『2人の子どもをこちらで引き取る』という声がしたので、そのまましばらく部屋に戻らず、そっと聞いてしまったのです。 

父が母に、『お前には子どもは育てられない! 愛梨と理子は2人とも俺が連れていき、実家で暮らす』と言った次の瞬間、母の言葉が衝撃でした。 

『私は絶対に理子は渡しません。愛梨を渡したのだから、それでいいでしょう。愛梨だけ連れて、あなたの実家に戻ればいいでしょ!』

私は、母のこの言葉を聞いて、母に捨てられたのだと理解しました。

母は私を愛してはいなかった、私を見捨てて妹を選んだのだと。

私は母のその言葉を聞き、部屋に戻って泣きました。

それから毎日、泣きました。

その後、私と父は祖母の家に住み、もう母に会うことはありませんでした。

もちろん、妹の理子にもです。母と理子は、母の実家の北海道へ戻ったのです。

母は、私を捨てました。

そして、いまだに一度も会いに来てくれません。

私は、あれからずっと母を憎んでいます」

 

私は話を聞き終え、守護霊からメッセージを受け取りながら、愛梨さんに話をしました。

 

愛梨さんの不妊の原因は、前世と現世の双方の母への憎しみだったのです。

 

最初に私が、霊視によって体のエネルギーを読み取った際、愛梨さんの体のエネルギーは硬直状態で、ブロックがかかっていました。

愛梨さんの前世のカルマは、誰よりも大好きだった母に見捨てられた大きな悲しみ、 恐怖、不安であり、現世でも、時代と環境は違っても、前世の状況やカルマを追行し ており、やはり大好きな母に見捨てられたという憎しみ、悲しみを大きく抱えてし まっていました。 

しかし、このカルマを抱えたままでは、前世同様、幸せにはなれません。

カルマを手放すために、のちの現世でやり直しをするために、似たような状況に生まれてきたのです。

 

愛梨さんの不妊の原因は、「母になることへの恐れ」です。 

 

母に見捨てられ、傷つけられ、憎しみ続けた気持ちが消えないまま自分自身が子の母となっても、子どもを愛することができないのではないかと……。

自分自身の子どもの頃のつらい気持ちを、自分が母となったときの自分の子どもに対して投影していたのです。

そのため、いつでも体やエネルギーがリラックスすることができず、無意識に構えてしまって、それが体やエネルギーの硬直につながり、妊娠ができない体を自ら作り上げていたのでした。

「母になることへの恐怖」から、妊娠することを「無意識に拒絶」していたのです。

私は、このことをすべて愛梨さんに伝えました。

愛梨さんは、涙ながらに語りました。

 

「その通りです。妊娠したいという気持ちはありました。夫や夫の両親の期待に応えるためにです。でも本当は、私は自分が母になることが怖かったのです。自分が母になったら、私を見捨てた母の気持ちが、もっと理解できなくなることが怖かった。 だって、母親って子どもが可愛いはずでしょ? 手放したり見捨てたりなんて、絶対にできないはずです。 でも、私の母は私を見捨てた。もし私に子どもが生まれたら、その姿を可愛いと思う反面、その可愛い我が子を見捨てたのだという母への恨みが大きくなっていきそうで……、そしてその恨みを我が子にぶつけてしまいそうで……怖かったんです」

 

「愛梨さん、なぜ守護霊は愛梨さんに、あの前世のビジョンを送ってきたのだと思いますか?

愛梨さんは、前世の母に見捨てられた気持ちを現世に持ち越して、同じ気持ちを経験してしまっています。

でも、その気持ちにずっととらわれていると、前世から持ち越してきた悲しみの気持ちを浄化することができなくなってしまいます。

前世の愛梨さん(キリア)は生涯、孤独で寂しく、拠り所もなく、自害しましたよね?

愛梨さんは、現世ではそのような「恐れ」を乗り越えて、幸せにならなくてはいけないのですよ。

前世の自分の魂に、『つらかったね』と語りかけてあげましょう。

そして、『現世では、あなたを幸せにしてあげる』と。

その前世の子(キリア)を幸せにするためには、愛梨さんが幸せになることです。 

自分を大切にすることが大事なんです。

前世のご自身の魂を癒やすためには、愛梨さん自身と、これから生まれてくるお子さんを幸せにすることが必要になるんですよ。

同じことを繰り返して、また来世に持ち越さないようにしないと。

『反面教師』という言葉がありますよね。

母親に苦しめられたのであれば、『そのような母親にはならない』と。

自分の幸せは自分のもの、自分で作り上げるものだと感じてください。

そうすれば、きっと、新たなお子さんの魂が愛梨さんの元にやってくるはずです」 

 

愛梨さんは、何度もうなずいていました。

 

「お聞きした前世、強烈でした。しかも、現世で同じ繰り返しをしていたなんて。でも、それは自分の思いで止めることができるんですね。また来世、同じことを繰り返したくないので、私はこの現世で自分自身を変えたいです」

 

「そうですね。きっと変われますよ!」

 

愛梨さんからは、それから半年後に妊娠されたとの嬉しいご報告をいただきました。

そして現在は、2児の母となり、子育てに忙しい毎日を送られています。

先日、愛梨さんから、次のようなメールをいただきました。

 

「あのときに聞いた前世のお話は、本当に衝撃的でした。

そして、同じような母子関係を現世で繰り返しているということ……。

私の本当に学ぶべきものは、小林さんの言う通り、母に裏切られたという悲しみや恨みの気持ちを持ち続けることではなく、自分自身で愛を作り上げていくものだということがよく理解できました。

そして、それがわかり、妊娠することもできました。

今は2人の女の子の母親になりましたが、2人の子を同じように愛し、自分も楽しみながら過ごすことができています。

私、とても変われたと思います!

自分の前世を知ることで、今をどのように生きるべきかということがよくわかりました。

私にとっては、とても大切なことでした。あの前世を知らなかったら、私は変われなかったでしょう。

小さい頃から、古代ローマの戦いが怖かったのも、自分の前世の記憶が魂の中に残っていたからなのだと知って、腑に落ちました」 

 

実際、不妊の原因は人それぞれですが、愛梨さんのように、前世、または現世での母子関係のトラウマが根底にあり、自分自身が母になることへの恐れから妊娠を無意識に拒絶することは少なくないのです。

その原因を探るうえで、愛梨さんのケースでは、「前世」が大きな気づきを与えてくれたようです。 

 

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