特別な才能を探し求めていませんか?
私に合った仕事がわからない
カウンセリングの中で最近多いご質問は、
「私の天職は何でしょうか? 私には何が向いていますか?」という内容です。
仕事に充実感が持てない、今の仕事は私には向いていない、と思っている状況に焦りを感じている。
しかし、何をしていいのかはわからない。
そして転職を繰り返す。自分に合う仕事を求め続けて……。
そのような気持ちのまま、転職を繰り返しても天職は見つかりません。
何か特殊な才能があり、その分野で活躍している人もいます。
それと比較して「自分には何もない」と自信が持てない人も多いのですが、特別な才能を持つ人には、この世に生まれてくる時に特別な課題も与えられています。
その特別な課題を果たすために、特別な才能が必要となるからなのです。
世界的に有名なピアニスト、女優、画家などは、その役割を担うために、それに必要な条件を与えられています。
それがいわゆる私たちのいう「才能」というものですが、では、凡庸な人の魂より特別な才能を持つ人の魂が優れているかといえば、そういうことでは決してありません。
一人ひとりの魂ごとに、この世を生きる中で果たすべき課題が違うだけです。
特別な才能を羨む必要はありません。
しかし、その「特別な何か」を探し求め、「今の仕事は違う」と思い、いつも不満を持ち続けてしまう方々が多いのも現状なのです。
この仕事は私には向いていない
美知恵さんは 35歳の女性です。
美知恵さんも、自分の天職は何であるのか、を探し求め、カウンセリングにお越しになられました。
「私は自分の天職が知りたいのです」
カウンセリングが始まるとすぐにご相談内容を話し始めました。
「私は大学を卒業後、保険会社で事務職として働いていましたが、勤続7年目で退社しました。
毎日同じルーティーンワークの中で、自分のやりがいを感じられずにいたところ、周りの友人たちは、自分で開業し始めました。
そんな話を聞いているうちに、皆、自分のやりたいことを自由にしているのに、私は何をしているのだろうか……と焦りを感じてしまったのです。
そして私は6年半ほど勤めた会社を退職して、半年間ほど、自分は何がやりたいのか、きっと自分に合う天職があるはず、とゆっくり考えながらやりたいことを探す日々を過ごしました。
以前から健康に興味があり、定期的に通うマッサージがとても好きでしたので、マッサージを仕事にしようと、リフレクソロジーの講座に通い、ノウハウを学んで、マッサージ業に就きました。
最初の半年は覚えることもたくさんで、必死にこなすことに追われていたのですが、 仕事に慣れて半年を過ぎた頃から、だんだんと葛藤が出てきて……。
『私はこれが向いていないのかも』と思うようになりました。
お客さまにもいろいろな方がいて、もちろんよい方もいますが、そうではない方もいます。
わがままを言うお客さま、ちょっとしたことでクレームを言ってくるお客さま、直接間接に様々な文句を言ってくるお客さま……。
私はもうクレームを言うお客さまが恐くなり、お客さまに施術をすると手が震えるようになってしまいました。
そのせいでミスをして上司に叱られる、しだいにお店に出勤するのも嫌になり、『この仕事は私に向いていない』と思うようになったのです。
このマッサージのお仕事も辞めました。
その後、自分に本当に合ったもの、何ていうか、もっと心が喜ぶものがあるはずと思いながらも、でも何をしたいかが見つからない状態です。
一方で収入がないと生活も困るので、一時的に派遣で事務職に就きました。
でも、 その仕事も、『やはり私には事務職は合わない』と感じてすぐに辞めて、次にマッサ ージの経験があったことからエステサロンで施術者として働き始めました。
1年は続 きましたが、一生懸命やっているのになかなか社内で評価されず、待遇があまりよくなく、『もっと評価されてもよいのでは』と不満を感じるようになり、そこも続かず辞めてしまいました。
自分の方向性を知るために、様々な霊能者や占い師を巡るようになったことで、『このように人の悩みに応える仕事もやってみたい』と思うようになり、タロットを学び、タロット占い師として占い館で働き始めました。
だんだんとお客さまも付いて指名も入るようになり、順調に進んでいきましたが……」
探すのではなく、 自ら作り出す
ここで、美知恵さんは言葉が詰まりました。
「順調だったんですよね……、そしてどうされましたか?」
「はい、占いの仕事は順調なのに、上手くいかないんです。占い師同士の人間関係のトラブルです。やっと自分に合う仕事が見つかったと感じていたのに……」
私は聞き返しました、
「自分に合っている仕事だったのですよね? 対人関係でそのお店にいられないのであれば、お店だけ他に変えることは考えないのですか?」
美知恵さんは、首をかしげながら考えていました。
「そうなんですよね。お店を変えればいいのだろうけど、何となくそこまでしてまで この仕事をしなくてもいいかな……と。私は一体何がやりたいのか、もうわからなくなってしまって……」
私は美知恵さんのこのような悩みについて、守護霊さまからメッセージを受け取ることにしました。
「今、起きているその状況こそが、あなたの人生の課題、学ばなくてはならぬことなのです。
自分には何が適しているかということばかりを考えるのではなく、その時々の目の前のすべてを大切にできなければ、自分に適した本当のものは見つかりません。
適するものとは探すものではなく、自らが作り出すもの、
それは忍耐や努力や他者を思う貢献などの学びの中から形となって現れてくるものなのです。
このままでいれば今の状況は続きます。
それが乗り越えなければならない課題であるためです」
いったい天職って何ですか?
私はこのメッセージを美知恵さんに伝えました。
美知恵さんは、考えながら、
「天職とは自分に合った職業ではないのですか?例えば、先生も霊視という仕事は天職で、そのために必要な霊能力は元々持っていたものですよね?」
私は尋ねました。
「美知恵さんは、霊的能力があるから霊能者になることが天職だと思いますか?
私がこれを自分の天職だと思っていると思われますか?」
美知恵さんはすぐに答えました。
「はい、先生はこの仕事が天職ですよね。もともと霊能力もお有りになられるし」
「そうですね……、たしかに、物心ついた時から私には霊能力がありました。そしてこの道に進むことになりました。しかし私はこのお仕事を『天職』と思ったことは一度もありませんよ」
「えっ? 天職だと思っていないのですか?」
美知恵さんは驚いていました。
「美知恵さんの思う天職って何ですか? どのようなものですか?」
美知恵さんは少し考えて答えてくれました。
「そうですね、天職とは、自分の得意なことが活かせて、自分が楽しいと思い輝けること。
この仕事をしていてよかったと思えること。
そして、自分が色々な人に大きく評価され充実した気持ちになれること……。
あとは、好きなことをしていてお金が得られること、でしょうか」
「たしかに一般的にはそのようなイメージかもしれませんね。美知恵さんは、私が天職についていると思われていますよね。では、今お話しいただいた美知恵さんの思う天職像、私がそうだと思いますか?」
美知恵さんは不思議そうな顔をしていました。
私は説明を続けました。
「実は、どれも違います。むしろその逆ですよ」
「えっ! 逆ですか?」
「はいそうです。逆です。 このお仕事が楽しくて、自分に合った天職だと思ったことは一度もありませんよ。 むしろ、辞めたいと思ったことのほうがどれだけ多いか。辛いと思ったことのほうがとても多いものです」
「えっ、本当ですかでは、何でこの仕事をされているんですか?」
私は答えました。
「天職、つまり自分の魂が輝くこと、楽しめることは、好きなことをしたいということではありません。
いかに何かに貢献できるかが自ずと自分の魂が輝くことに繋がります。
その最中には、辛いと思うことも、辞めたいと思うことも必ずあります。
でも、一 方で感動することも、共感する出来事もたくさんあります。
天職は元からあるもの ではなく、自らが作り出して育てていくものではないでしょうか。
守護霊さまもそのようにメッセージで伝えられてきましたよね」
美知恵さんはしばらく何かを考えている様子でした。
続きます。
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