私は、なぜ恋愛、結婚ができないのか?
カウンセリングの相談の中で、「なかなか結婚ができない」とか「恋愛が長続きし
ない」という内容は非常に多く、ご相談者本人は、そのことにより、生涯ひとりのま
まなのではないか……と不安な気持ちで過ごされています。
実は、そうした「どうしたらよいのでしょう……」と切実な思いを抱え、悩んでい
る方々に霊視を行うと、共通点がいくつかあります。
私のカウンセリングお越しいただいた方の体験エピソードです(エピソードは私の著書にも執筆していまして、ご本人様の掲載許可を得ています)
ご相談者の今井桜(仮名)さんは、今年35歳。数カ月前まで会社員でしたが、会社を退職さ
れて、現在はフリーターとして働いています。桜さんの悩みは、次のようなものでし
た。
結婚できない理由は、母親に捨てられる不安……
結婚できない理由は、
母親に捨てられる不安……
「もう35歳になるのに、まだ独身で、仕事もフリーターで安定していないのに、この
まま結婚できないのでは……と不安になります」
「今までの恋愛はどうでしたか? お付き合いされた方とは結婚を考えませんでした
か?」
私がこのように質問すると、少し考えてから答えてくれました。
「今までの彼氏は……。そうですね、どの人も結婚までは至らずに別れてしまう……
ということを繰り返しています」
「そうですか……」
私はうなずき、桜さんの話を伺っていました。
「私、何か霊的なものに邪魔をされているのでしょうか? 霊障とか生き霊とか。実は、
ほかで霊能者の人に見ていただいたところ、『前世で、ある女性から男性を奪っ
たので、その女性の怨念に恋愛を邪魔されている』とか、また違う方には、『あなた
の周りの知人の生き霊が、あなたの恋愛を邪魔している』と言われ、怖くなって……」
「そうですか……、でも、それはどれも違うようですね」
そう私が答えると、桜さんは驚いたような、ほっとしたような表情を見せ、そして
質問されました。
「では、霊障でなければ、私は結婚できますか?」
私は霊視を行うことにしました。
桜さんの恋愛が続かず、そして、結婚できない原因を。
霊視で見た桜さんの本質は、はつらつとした表面的な印象とは逆に、自分の人生を
生きることができていないようでした。
私の目の前には、桜さんの小さい頃のビジョンが映し出されてきました。
(勉強も、習い事も、家のお手伝いも一生懸命な桜さん。お母さんに褒めてもらいたい、
お母さんに喜んでもらいたい。
でも、それができない。お母さんは、とても怒る、お母さんは、私なんか可愛くないんだ……)
こうした小さい頃の桜さんの気持ちを受け取りました。
しかし、すぐに、この内容とは異なる桜さんの心の声も届きました。
(お母さんは優しい。一緒にお菓子を作ったり、良い子でいると、とても喜んでくれ
て、本を読んでくれたりしたの。お母さんのことは大好き)
この対照的なビジョンに、メッセージを受け取った私は一瞬戸惑いました。この
まったく異なる対照的なメッセージが意味することは、何だろう? と。
「すみません、受け取ったメッセージを解釈するのに、もう少しお時間くださいね」
そう言って、私は再度、もっと深い部分の霊視を試みました。
すると、どすんと、重い「気」のようなものが、私の心にのしかかってくるような
感覚が襲ってきました。あるビジョンが浮かんできたのです。
桜さんのことを、とても褒めて喜ぶお母さんの姿と、とてもきつく叱る、それも怒
りをぶつけているような叱り方をするお母さんの姿……。
私はすぐに気づきました、これは「条件付きの愛情」だったのです。
たとえば、「100点を取って勉強ができる桜ちゃんは良い子」「100点を取れな
い桜ちゃんは悪い子」というように、「○○できる桜ちゃん」は良い子だけれども、
「○○できない桜ちゃん」のことを認めてくれなかったようです。
本来は、できることもできないこともすべて含めて我が子を受容するのが親ですが、
桜さんのお母さんは、受容する部分と否定する部分が極端にはっきりしていたようで
す。
桜さんは、お母さんに褒められたくて、認めてほしくて、一生懸命頑張っていた
のです。そのために、自分自身の感情を抑え込んで、どうすればお母さんに認めても
らえるか、褒めてもらえるか、喜んでくれるかに重きを置きながら生きてきたので
しょう。
このビジョンを桜さんに伝えたところ、桜さんは何度もうなずかれました。
「母は、私のテストの成績が良かったり、書道で賞を取ったり、とにかく、ほかの子
より良い結果を出せると、とても喜びました。そして、ご褒美にケーキを焼いてくれ
たりして、
『ママは、桜が人よりできる子でいてくれることがとっても嬉しいの。だ
から、いつでもママを喜ばせてね』
と優しくしてくれました。
でも、成績が悪かったり、何かに失敗したりすると、激しく怒るんです。そして、
ときには泣くこともありました。
『ママは、桜の成績が下がって悲しい……』って。
なので、私は小さい頃から、いつも、お母さんを喜ばせようと一生懸命頑張ってき
ました。けれど現実は、うまくはいきません……。高校入試だって、大学入試だって
第一希望に入れなかったし、仕事だって本当は大手の会社を志望したけれども、こと
ごとく不採用で入れなかったし……。私って駄目だな……って、いつも自分自身に劣
等感を持っていました。こんな私では、母も喜んでくれないって」
桜さんは、お母さんの期待に応えることができない自分自身を責めていました。
そして、実はこれが、恋愛が長続きしない、結婚できない原因だったのです。
「桜さんの悩みである『結婚できないこと』の原因ですが、いろいろな霊能者さんに
言われてきた霊障でも生き霊でもありません。原因は、桜さんの心の中、つまり、お
母さんとの関係にあります」
私の言葉に、桜さんはとても驚いていました。
「えっ! 私の心? 母が原因ですか?」
「そうです」
私は、この霊視で受け取ったビジョンを、もっと細かく、桜さんに伝えました。
「桜さんは、お母さんに褒めてほしかった、認めてもらいたかった、そして、喜んで
もらいたかったという思いで過ごしてきました。すると、どうでしょう? ありのままの自分で、
お母さんに甘えることができませんでしたよね。
お母さんにとっては、できる桜ちゃんは良い子。でも、できない桜ちゃんに対して
は、ひどく叱ったり、ときには泣いたり……。
桜ちゃんは、頑張って、お母さんの期待に応えようとして、成長する過程において
も、ありのままの本来の桜ちゃんでいられなくなったのです。高校、大学、就職と、
結果、失敗したかもしれないけれど、お母さんの希望するところを目指しました。そ
こにも自分の意思がなかった……。
もしかしたら桜さんは、自分の意思で大学も就職先も選んだと思っているかもしれ
ませんが、実は、無意識に、お母さんが喜んでくれるであろう学校や就職先を選んで
いたんですよ」
しばらく、桜さんは呆然としていました。そして、語り始めました。
「今、小林さんに言われて、思い返してみたんです。自分の今までの人生を。たしか
に、考えてみると私はすべて、母が喜んでくれるだろうと思う選択ばかりしてきてい
ます。受験する高校も、大学も、就職先も。ことごとく不合格、不採用でしたけれど。
でも、そんな中でも、ここなら母が妥協してくれるだろうと思う学校や会社に行きま
した。
実は、洋服も、母に少しでも「その色、似合わなくない?」と言われると、どんな
に自分で気に入って購入したものでも、二度と着なくなりました……。趣味もそうで
す。友人とダイビングを始めようと思い、母に「ダイビングするから」と伝え、「そ
んな危険なもの、もし何かあったらどうするの! お母さんは反対」と言われてしま
い、ダイビングを諦めました……。付き合う友人もそうでした。中学のとき、仲が良
かった子がいたのですが、その子の両親が離婚をすると、母はそのことをあまり良く
思わず、『あの子とは、あまり遊ばないで……』と言われ、私はその子とはだんだん
疎遠になりました。今、気づきました……、私は母の意志に動かされていたのですね」
「お母様の意志に動かされていたというよりは、お母様の喜ばないことをすると、
『私はお母さんに愛されない、嫌われる』と考えてしまう『見捨てられ不安』が心の
底にあったのでしょうね。それは、桜さんが、お母様から幼少の頃に受けた愛情が、
『できる桜ちゃんは良い子』という『条件付きの愛』だったからです。そのため、「良
い子でいなくてはならない」と、いつもお母様の望む方向に無意識で動いていたので
す。ということは、桜さん、恋愛が続かないことや、結婚できないことの原因がわか
りますよね?」
桜さんは、抑圧されていた感情が噴き出したかのように、泣きだしました。
これまで、ずいぶんと自分の感情を閉じ込めて生きてきたのでしょう。
「私は、誰も本当の私の姿を見てくれないと思っていました。だから、自分に自信も
持てなくて……。それは、母がありのままの私を認めてくれなかったからなんですね。
大人になった今でも、『母の期待に応えないといけない』って思い込んで……。
小林さんに言われるまでは気づかなかったけれど、まさにその通りだと思います。私は、
自分のしたいこと、なりたい職業、服装、すべて諦めてきました。恋愛や結婚ができ
ない理由も、ここにあったのですね。
私、今思えば、好きだと思っていても、母が喜びそうな条件の相手でなければ別れ
ていた気がします。長男はダメ、大卒でないとダメ、大手企業で働いていないとダメ、
家柄、実家が遠い地方の人もダメ……と、母がよく口にしていたこの言葉を、私自身
も結婚相手の条件にしていたように思います。だから、相手と長続きせず、結婚にも至らず……。
私、本当は、とても好きな人がいました。でも、母の喜ぶような条件の
相手ではありませんでした。だから、私から別れてしまったんです……」
桜さんは、自分の人生を無駄にしてしまった……と、しばらく泣き続けていました。
少し落ち着かれたところで、私は言いました。
「人生、無駄なことはないですよ。そのことに気づいたのであれば、
今から『本当の自分の人生』を作っていけばいいんです。ここまで気づいたのだから、この後の人生
は大きく変われるはずですよ。『自分の人生は自分のもの』です」
桜さんは何度もうなずき、ここでカウンセリングは終了しました。
【幼少時に体感した安心感は、将来の自立につながる】
人は誰しも、成長のプロセスというものがあります。
幼少期、親が無条件で自分自身を受け入れてくれるという環境であれば、親を
「安全地帯」として認識し、安心感を持って自立という方向へ進むことができま
す。
しかし、そこが満たされないままでいると、心が自立することができず、いつ
までも愛され感が未完了のまま残り続けてしまい、「母に愛されたい」という思
いが無意識の執着となり、自分自身の心が自立していくことを妨げてしまうので
す。
そのため、自分の感情を抑え込んで、無意識であっても、劣等感を抱いたり、
母親や他人の顔色をうかがいながらの人生を歩んだりすることになってしまう場
合もあるのです。
その後も、桜さんとは、カウンセリングで何度かお会いしています。
現在は、お付き合いを始めた人と結婚式場見学をしているとのこと。
婚約者の方は、以前、別れてしまった彼でした。桜さんの「私、本当はとても好き
な人がいたんです」というお話の中にも出てきた彼です。
桜さんは、このように言われていました。
「あのカウンセリングのあと、しばらくして、これからは自分の気持ちに素直になろ
うと思ったときに最初に頭に浮かんできたのが、以前付き合っていて、私から別れた
彼でした。そして、連絡をしてみたところ、久々に食事にでも行こう、ということに
なり、そこから私も自分の気持ちに素直になって、また彼とお付き合いすることにし
ました。今、結婚式場回りをしています。自分の幸せは自分で作るものだということ
が、とてもよくわかりました。そして、ずっと重かった気持ちが、今とても軽くなり
ました」
自分の人生は自分のもの
自分を大切にすることが、結果、周りをも幸せに包むことができるのです。
桜さんは、自分の気持ちを大切に、これからの「人生と家族」を作り上げていくこ
とでしょう。
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